会社が成長するほど増えていく、属人化とは?
「その件は○○さんがいないと分からないですね。」
会社の中で、このような言葉を耳にしたことはありませんか?
ある会社では、長年勤めているベテラン社員のTさんがいました。
顧客とのやり取り、受発注の流れ、過去のトラブル対応。
誰よりも仕事を理解し、会社にとって欠かせない存在。
しかし、ある日、そのTさんが体調を崩して数日間休むことになりました。
すると、現場ではさまざまな問題が起こり始めます。
「あの案件の進捗はどうなっている?」
「この資料はどこに保存されている?」
「このお客様への対応方法が分からない。」
誰も状況を把握できず、仕事が思うように進まなくなってしまいました。
もちろん、Tさんが悪いわけではありません。
むしろ、責任感を持って仕事に向き合ってきた結果、多くの知識や判断が一人に集まっていたのです。
このような状態を「属人化」と呼びます。
そして、現代の多くの中小企業でこのような課題を抱えています。
「〇〇さんしかできない」はなぜ起こるのだろうか
属人化というと、「マニュアルを作っていないから」と思われることがあります。
もちろん、それも一つの理由です。
しかし、現場ではもっと自然な流れで起こっています。
最初は家族経営で始まった事業。それから仕事と社員も増えて、気が付けば、
「この仕事は〇〇さんに任せておけば安心」
という状態になっていきます。
本来であれば仕組み化が必要なタイミングでも、日々の業務に追われ、後回しになってしまう。
そして少しずつ、「手順も判断基準もその人しか分からない」という状態になっていきます。
属人化は突然起こるものではありません。
会社の成長していく中で、少しずつ積み重なっていくものなのです。
属人化がもたらす3つのリスク
特定の社員に頼ってしまう、このような属人化が加速すると、リスクが発生します。
代表的な3つのリスクをこれから紹介します。
① 業務が止まってしまうリスク
頼っていた担当者が休んだり、異動したりすると、一気に業務が進まなくなります。
特に中小企業では、一人が複数の役割を担っていることも多く、影響は小さくありません。
② 新しい人が育ちにくいリスク
仕事のやり方が人の頭の中にしかない状態では、引き継ぎにも時間がかかります。
「まずは見て覚えてください。」
そんな状況では、人材育成も難しくなってしまいます。
特に新しく加わったスタッフの定着化にとっても、不利益となってしまうこともあります。
③ 改善が進まないリスク
業務が見えない状態では、「どこに無駄があるのか」「何を改善すべきか」を判断することも難しくなります。
DXやAI活用も、まずは業務を理解するところから始まります。
つまり、属人化は業務改善そのものを困難にしてしまうのです。
「業務の見える化」が属人化を防ぐために必要
ここで重要なのは、「すべてを文書化すること」ではありません。
それだけでは、膨大な資料だけが増えてしまうこともあります。
まず取り組みたいのは、業務を見える化することです。
例えば、
誰が何を担当しているのか
どのような流れで仕事が進んでいるのか
どこで判断が必要になるのか
を整理してみる。
そうすることで、「実はここが特定の人に依存していた」という部分が見えてきます。
本当の問題は「人」ではなく「構造」にある
属人化の改善に動き出すと、「自分の仕事を奪われるのではないか」「自分の立場が無くなってしまう」と不安を感じる社員もいます。
しかし、本来の目的はその逆です。
「より重要な仕事に時間を使えるようにすること」
これが仕組み化の本来の目的です。
つまり属人化をなくすことは、人の価値を下げることではありません。
むしろ、その人しかできなかった仕事を整理し、新しい価値を生み出せる状態をつくることなのです。
このことを社内できちんと理解してもらうことが、重要だと考えています。
「その人に頼らなければ回らない環境になっていること。」
そんな時に本当に見直すべきなのは、構造なのだと思います。
【まとめ】
属人化は、多くの中小企業が抱える課題です。
しかし、それは誰かが悪いから起こるものではありません。
会社の成長の中で、自然と生まれてしまうものです。
もしも、
「この仕事は○○さんしか分からない。」
そんな言葉が増えているのであれば、一度立ち止まって考えてみるタイミングかもしれません。
業務を見える化し、情報を共有し、仕組みとして整理していく。
その小さな積み重ねが、属人化を防ぎ、会社がより持続的に成長するための土台となります。
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